眠り姫はひだまりで


大和は段ボールを持って、私の前にしゃがみこんだ。


「えと…ごめん、もうなくなっちゃった」

私もまだ、半分しか食べてないし…。

そう言うと、大和は「ふーん」と言って、私の片手を見た。


「じゃあ、それちょうだい」


えっ……

大和は片手で段ボールを持って、もう片方の手で、クッキーを持ってる私の手首を掴んだ。


そして、そのまま口に運んで…


パキ。

目の前で、クッキーの割れる音がする。

周りが、ざわついた。


「…美味しいね」


私を見て、に、と笑う大和。

周りの女子たちの「きゃああ…」という声と同時に、私の顔にも熱が集中してきた。


< 476 / 587 >

この作品をシェア

pagetop