眠り姫はひだまりで
大和は段ボールを持って、私の前にしゃがみこんだ。
「えと…ごめん、もうなくなっちゃった」
私もまだ、半分しか食べてないし…。
そう言うと、大和は「ふーん」と言って、私の片手を見た。
「じゃあ、それちょうだい」
えっ……
大和は片手で段ボールを持って、もう片方の手で、クッキーを持ってる私の手首を掴んだ。
そして、そのまま口に運んで…
パキ。
目の前で、クッキーの割れる音がする。
周りが、ざわついた。
「…美味しいね」
私を見て、に、と笑う大和。
周りの女子たちの「きゃああ…」という声と同時に、私の顔にも熱が集中してきた。