眠り姫はひだまりで


やだ、嘘でしょ。

なんで大和に訊いちゃうの…!!


「…噂、って?」


案の定大和の声色は、困っているかんじで。

きっと、教室へ戻ろうとした時に、あの子達に声をかけられたんだろう。

運が、悪い。

ことごとく、悪い。

どうしてこのタイミング?

どうして、出くわしちゃうんだろう。


「…色葉との噂。本当なの?」


どくどくと、心臓の音がやけに大きく聞こえる。

あまり、人の通りが少ないこの階段。

下の三人の会話だけが、響く。

「…色葉との、噂?」

…ああ、やっぱり知らないんだ。

できれば知らないままで、いてほしかったのに。


< 497 / 587 >

この作品をシェア

pagetop