眠り姫はひだまりで
やだ、嘘でしょ。
なんで大和に訊いちゃうの…!!
「…噂、って?」
案の定大和の声色は、困っているかんじで。
きっと、教室へ戻ろうとした時に、あの子達に声をかけられたんだろう。
運が、悪い。
ことごとく、悪い。
どうしてこのタイミング?
どうして、出くわしちゃうんだろう。
「…色葉との噂。本当なの?」
どくどくと、心臓の音がやけに大きく聞こえる。
あまり、人の通りが少ないこの階段。
下の三人の会話だけが、響く。
「…色葉との、噂?」
…ああ、やっぱり知らないんだ。
できれば知らないままで、いてほしかったのに。