眠り姫はひだまりで


…ああ、言わないで。

誤解だから。違うから。

お願いだから、それを大和に伝えないで……!


「…佐伯くんが、色葉のこと好きだっていう噂だよ」


その言葉と同時に、その場が静まり返った。

…驚いているよね。

何も、言えないんだよね。

ごめんね、ほんとにごめんね。


私がしっかりしないから。

私が逃げてばかりで、誤解を解くことができなかったから。

ほんとに、ごめんね…



「……ねえ、佐伯くん。色葉と、すごい仲いいよね」

女子の声が、この空間に響く。

「色葉と中学、一緒なんでしょ?そのときから、仲良かったって聞いたよ」

…もう、やめて。

早く、大和を呼ばないといけないのに。

会議室、行かなきゃいけないのに。


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