眠り姫はひだまりで


私の頬は赤みを増しているはずなのに、心の奥がチクチクと痛み出す。


「………色葉?」


…なにか、言わなきゃ。


『本当に?』って。

『嬉しい』って。


…『私も、好きなんだよ』って。


言わなきゃ、いけないのにー…


頭の中で回るのは、大和の苦しそうな顔。

大和の、優しい笑み。


私のためについた彼の嘘を置き去りにして、私は純くんの気持ちに応えるなんて、できない。



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