眠り姫はひだまりで


先生のことは理紗ちゃんに任せて、あたしは教室を出た。


えーと…まず、どこ行くんだっけ。

色葉の話を思い出しながら、階段を降りる。

あ、そうそう、資料室だ。

確か資料室に、隠し扉があるんだよね。

授業始まって先生に見つかると厄介だから、早く行かないと。


資料室の扉を開け、室内の埃臭さに記憶が蘇る。


とってもいい場所なんだよ、と色葉は言った。

入学したてのころ、お兄さんから教えてもらったっていう空き教室。

色葉はあたしを連れて、嬉しそうに『陽射しが暖かくてね』と笑っていた。



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