眠り姫はひだまりで


けれどもし、そうじゃなかったら?

ひとりで、泣いていたら?


そのときあたしは、彼女になにが出来るんだろう。


ガコ、と音がして、光が漏れる。

あたしは目を細めながら、その壁を押した。


けれど勢いよく四角の壁が床へ落ちて、大きな音を立てる。

やばっ!

すぐに壁を持つと、あたしはその床に足を置いた。


「…………」

…起こし、ちゃったかな。

寝てるのかな。


壁をはめ込んで、空き教室内を見渡す。

なんだか前来たときより、薄暗い。

もう、冬だしね。

あたしが前回ここに来たのは、春だったから。



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