眠り姫はひだまりで


純くんはいないのに、私だけここで座ってたんだから。

私はミオから視線を外して、「どーしよう、ミオ」と声を出した。


……ああもう、声が震える。

目の奥が、熱くなってきた。

さっき、泣いたばかりなのに。


「………純くん、傷つけちゃった………」


好きだって、言ってくれたのに。

元気だして、って、言ってくれたのに。

「……私、なにも言えなかった。なに言ったらいいのか、わかんなかった」

わかっているのは、素直に気持ちに応えることはできないってこと。

ミオは、どういうこと?という目をしている。


「……好きって、言われた」


彼女は目を見開くと、一瞬嬉しそうな顔をしてから、私を見て複雑そうな顔をした。



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