眠り姫はひだまりで


頬を伝う雫を、袖でぬぐう。

…泣いてばっかり。

情けなくて、自分が嫌になる。


静かに目を開けたミオが、じっと私を見た。

そして、「…ねぇ、色葉」と口を開く。


「…なんであたしが、このあいだ怒ったかわかる?」


…え…?

それはこのあいだ、初めてケンカしたときのこと…?

私が眉を寄せると、彼女は真剣な目をして「あのね」と言った。


「…隠し事されたのも、確かに嫌だったけど。でもそれ以上に、色葉に信じてもらえてなかったのが、悔しかった」


…どういう、こと…?


「…し、信じてるよ?私、ミオのこと誰よりも信頼してるよ」

「うん。知ってる」

じゃあ、どうして…



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