眠り姫はひだまりで
「ありがとう…けど私、自分で行く」
ここで、朔くんに頼っちゃ駄目なんだ。
朔くんは驚いたように私をじっと見つめたあと、にっこりと笑った。
…爽やか男子、だなぁ。
「ん。いってらっしゃい、頑張って」
…が、『頑張って』って。
私が顔を赤くすると、朔くんはふは、と笑った。
「くやしーね。やっぱ、王子には勝てないなぁ」
「へ……」
「こっちの話。ほら、早く行きなよ」
意味深な笑みをしながら、朔くんは純くんが去っていったほうを指差す。
「…う、うん…ありがとう!」
駆け出した私に、朔くんは笑って手を振ってくれた。
渡り廊下のところで、歩き続ける純くんの背中を見つけた。