眠り姫はひだまりで


息を切らしながらも、大和と一定の距離を保ちながら走る。

すると、大和が「僕なんかより、仲良くなるべきひとがいるでしょ!」と叫んだ。

仲良く、なるべきひと?


「なにそれ!?誰!」

「いるでしょ!いちばん大事なひと、いるでしょ!僕と噂なんか立てられてたら、そのひととうまくいかないじゃん!」

思わず、目を見開く。

なんで、知ってるの、大和。

もしかして、そのことを考えて、こんな頑なに私から遠ざかろうとしてるの?


…もう、ほんと、なんなの。

なんなの、なんなの、なんなの!


「大和の馬鹿ー!!!」

前で走る背中が、びくっと揺れる。

私はぐるぐると頭のなかを回る感情を抑えながら、口を大きく開いた。

「それで押さえつけた大和の気持ちはどうなるの!?大事な大和の気持ちは、どこ行くの!私なんかより、ちょっとは自分のことも考えろ馬鹿ー!!」

…いつも、いつも。

自分より、他人優先で。



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