眠り姫はひだまりで


今度こそ半泣きになりながら、彼の目から目をそらして、思いつくことを精一杯に口にした。

「や、優しくて…」

「……これが、優しいの?」

ふ、と益々意地悪に目を細めて、彼が私の顎に手を添える。

すごい速さで心臓が跳ねていて、そろそろどうにかなるんじゃなかろうか。

「わた、私が落ち込んでる時とか、元気付けてくれて…」

「…うん」

「笑顔が…ステキです…」

純くんが、「ぷっ」と笑う。

「わ、笑わないでよぉ!」

「あ、いや、ごめん。続けて?」

くっ…笑いを堪えているのが、むかつく。


「…あとは…」

彼の目を見つめて、私は言った。


「抱きしめてくれた時、すごくあったかい」


だってもう、安心してしまうもの。

この腕のなかで眠れたら、どれだけ幸せだろうか、って。

純くんは少し驚いた顔をしたあと、優しく笑った。



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