眠り姫はひだまりで



まるで、終わりを告げる鐘みたいに。



………………えっ。


ガラガラ………と開いた戸の向こうには。


呆れ顔の先生と、必死に笑いをこらえるクラスメイトたち。


え。ええぇ!まさか、遅刻!?


「………松本。そんな間抜けな顔せんで、早く席につきなさい」

 
先生の言葉に、クラスメイトのひとりかふたりが、こらえきれなくなったのか、ぶはっと吹き出した。

他の生徒も、笑い出さないように必死。

 
…………ひどぉ。

 
『間抜けな顔』とか言った先生もひどいし、今にも大爆笑しそうなクラスメイトたちも、あんまりだ。

確かに、さっきはチャイムの音に信じられない思いがして、ぽかんと口を開けてたけど。

私はしょぼんとなって、席に着く。


そしたら、前の席のほうで誰かが吹き出した。


な、なんで!!

今の動作にどっか笑えるとこあった!?

 
私がボー然となって前の席のほうを見てると、近くで声を殺して笑いをこらえる男子の姿が目に入った。





< 6 / 587 >

この作品をシェア

pagetop