眠り姫はひだまりで


クラスの二大アイドルがくっついてたら、そりゃショックだよねぇ。


「………まぁ、くっついてないけど」


「な。うちのクラスは、思い込み激しい奴が多いな」


あたしの呟きに、近くにいた葉の友達が答えてくれる。

 
「………葉はともかく、色葉ちゃんは自覚ないからなぁ」


「そー。それがめんどくさいのよ。さっさと彼氏つくればいーのに」


色葉が告ったら、絶対即オーケーされるってのに。

 
あの子は中学でも、彼氏をつくろうとはしなかった。

変に誠実で、『好きじゃないのに軽くオッケーなんてできない』とか言って、告られても全部フッてた。


もったいない、とか思ってたけど、逆に男子は「純粋そうでイイ」とか言って、色葉はますますモテだした。



「色葉ちゃんには手を出すなってゆう、男子間の絶対ルール知ってる?」


葉の友達の一人が言った。


「知らない。なにソレ?」

 
「純粋無垢の色葉ちゃんは、穢れさせないっつって、男子がルール決めたんだよ。抜け駆け禁止ってな」


「……なるほどねー………」


どーりで、高校入って全然告白ないわけだ。

色葉に告ってきたのは、はじめの時期の一人二人だけ。




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