眠り姫はひだまりで


よし。ここはお姉ちゃんが、気遣ってあげようじゃないの。


「優馬。これからどっか行く?お昼は外で食べよっか」


笑って話しかけると、優馬はしらっと言った。


「あー、おれ、これから光輝(こうき)と遊ぶ約束してるんだ。だからお姉ちゃんとお昼食べない」


…光輝くん。確か、優馬の同級生。

うちへ遊びに来たり、優馬が行ったりするうちの子。


「い、いつのまに………!?」


「ごめんー。あ、もう約束の時間になる。じゃあ姉ちゃん、おれ行くね」


「な…………!?」


「あはは、彼氏でも呼んだら?あ、もしやいないの?だったらゴメンね!ひとりで寂しくお昼食べて」


「…………五時前には帰るんだよ」


「わかってるー」


 
ガチャ………と玄関のドアを開けて、優馬は嬉しそうに外へ駆けていった。



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