シンデレラストーリー


いつか真知子さんはそんなことを言っていた。

その言葉通り、俺はダンスという才能を、次々に開花させていったのだ。

コンクール、コンテスト…

俺はどんどん賞をとっていった。
そこでもらった賞金を俺は密かに貯金して、いつかみんなで住める立派な家を作る。
それが俺の夢だった。


俺も、真知子さんや、兄ちゃんの役に立てる。


嬉しかった。

でも、コンクールに出たりするには、レッスンを増やさなくてはならない。
いつのまにか俺は、週に4回もレッスンに通うようになり、
月謝も高くなっていった。

家計的には厳しかっただろう。


一つのコロッケを3人で分けて食べたりしていたのに、

俺の月謝はどれほどの負担だっただろうか。

なのに、真知子さんは笑顔で

「好きなことをやりなさい」

と言ってくれた。

賞をとって帰ってくると、真知子さんも兄ちゃんも
自分のことのように喜んでくれた。
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