シンデレラストーリー
真知子さんは、俺たちを本当の子供のように面倒をみてくれた。
俺たち兄弟は、真知子さんが大好きだった。
でも、幸せは長く続かなかった。
そのニ年後、父さんは俺らを置いて、
家を出て行った。
父さんの給料がうちに入らなくなると、
間違いなく破たんするのはわかっていた。
真知子さんも会社を辞めてしまっていたし、
父さんのところで働くのはもう無理だとわかっていた。
「真知子さん、俺ももう16だし働ける。今まで、育ててくれたのは
本当に幸せだったよ。血のつながりも無い僕らを、あんなにも愛してくれてありがとう。俺らは、2人で生きていくから…」
兄ちゃんと俺が、考えに考え抜いて出した結論。
きっと真知子さんにも置いていかれる。
だったら、僕らから出て行こう。
ここまで、優しくしてくれたのは、本当に幸せだった。
だから、真知子さんも幸せになってほしい。
俺らなんかに構わず生きてほしい。
そんな思いで、兄ちゃんは泣きながら訴えた。