あめ



―――…もう、やめてよ



思い出す記憶の奥底。

真っ赤に染まった視界の中で、忘れろと死ぬほど言われた残酷で悲痛な言葉。


初めて仕事を終えた日から耳の奥でこだまする。

視界の底で焼き付いた映像とともに。




佇むのは愛しい筈の相手。

紅に染まるる海の中で、ただ絶望に打ち拉がれて無力に漂うその姿を。











「この人殺し」




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