あめ



「…な、なんっ…」



「…ああ、手錠ですか。
私の剣が壁に立て掛けられていたので、それで切りました」



レインは上着のポケットにあったハンカチで口元を拭う。

液体を飲み込むのも嫌らしく、ハンカチを口に突っ込んで舌や歯までもを拭った。



「まったく、人間の肉があんなに固いとは…いや、骨ですね。

確かに食用にならない筈です」



試食をしたみたいに述べられた感想により、男の一人が悲鳴をあげて尻餅をついた。


「しかし痛い。
痛すぎて泣きそうでした。

歯も一本折れてしまいましたし、これでは帰ってから主に怒られてしまいますね」




人が人を咬み殺すのを見た人間は何人いるだろう。

しかもか彼女はいたって正常でカニバリズムなんてとんでもない。



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