あめ
「困るんですよねぇ」
レインは喉を食い千切った男の身体に歩み寄ると、垂直に剣を落とした。
刃は真っ直ぐに心臓を貫き、男は悲鳴なく死んでいく。
「私という人間は、現在ジン・アイヴァンスという人が所有する所有物に過ぎない身なんですよ。
この身体も人格も、すべては我が主のもの。
体液の一滴から一瞬の怒りまで、すべては我が主のために。
それを、ああ、なんてことだ」
喋りながら、レインは男の顔を潰していく。
縦に、横に、眼球を抉り唇を裂き耳を落とし、愛しい筈の顔をしたモノを壊し続ける。
「主がためにあるこの身体を、不躾にもあなた方は許可なく触れてしまった。
しかもか抵抗するためにこんなに汚してしまって。
この胸の内さえ憎悪に塗れて燃え盛っている。
私は誰にも支配されてはいけないのに」