あめ
誰にも流されず、誰にも惑わされず。
その身に生ずるすべての事物は、ただ『彼のため』でありたい。
痛みも苦しみも怒りも、全部全部誰にも譲渡してはならないのだ。
願うあまりに歪。
祈るあまりに狂おしい。
それを土足で踏み躙るならば、彼女は皇帝だろうが神様だろうが世界だろうが切り捨てることだろう。
「ゆえに、私に触れた人間がこの世に存在しては困るんですよ」
最後は首を切り落とした。
ごとり、と生々しくて重苦しい音が床に響いた。
「彼以外にもいるでしょう?
あの50を越える武器すべてを取り上げるだなんて一人じゃ無理ですし。
ああ、でも、一々探すのは面倒ですから、皆殺しにしてしまいましょう」
にっこりと笑う。
感情と表情は反比例するらしい。