あめ
切った。
まるでナイフを入れたバターのごとく一瞬で三体もの人体が真っ二つに崩れ落ちる。
切った人物にはそんな動きは見てとれなかったというのに。
「撃て、撃てぇぇぇ!」
すぐに拳銃が構えられ、銃口がレインに向けられた。
「面倒ですね」
滴る紅を払うと、切っ先を天井に向け灯りを落とす。
途端に視界が暗転。
騒めきの中で再び断末魔が鳴り響く。
「100人と言っていましたね…これで8人です」
「ぎゃあああ!」
溢れる飛沫の音が耳元近くで聞こえ、暗い室内はパニックになった。
灯りがつく場所へ逃げる者もいれば、我を見失って辺り構わずぶっぱなす者もいる。
この状態を収める者などどこにもいない。
あるのは無力な羊と、それを狩る狼。