あめ



ふと。



「レイン」



聞き慣れた声が、闇の向こうの路地裏から聞こえた。

「あ、主…ウォルター街にいらっしゃったのでは」


「急に待ちきれなくなって。」


それはそれは、と言って駆け寄った。

「へっ!」



ふわり、と柔らかく誘われ、胸の中に押しこめられた。

抱き締められるなんて珍しい。




「……どうかなさいましたか」


「いや。
…人肌が恋しくなって」


「はぁ、そうですか」



< 6 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop