あめ



「何者でしょう。
さっきの一味の仲間…ではありませんよね」


「違うよ。
けれど君のご主人様に用事があるんだ」


「私を人質にする気だったんでしょうか」


「だった、じゃなくて、する気だよ。」


「なにを――…」



この状況で、と、身を離そうとした瞬間、彼女は首筋に鋭い痛みを感じる。


「!!」



「悪いね、手荒にはしたくなかったんだけれど…」




男の手には注射器が。

薬を入れられたか、意識がぼやけて靄にかかる。



「アルコール度の高いウォッカ。大丈夫、中毒にはならないと思うから」



ジンの顔をした男が笑う。


止めろ、そんな顔で下品に笑うのは。


今すぐにでも叩き切ってやりたかったが、身体の自由がきかなくなり。



レインの意識は、静かな水底に落ちていった。




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