あめ
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気が付けば、見慣れない白亜の壁に囲まれた部屋にいた。
脳ミソが持ち上げられたように頭が痛くて、視界もまだぼやけている。
「あ、起きた」
視界に入る黒い影。
「あ、る……じ…」
否。
「…ち、違いますね」
さっきの男か。
可笑しそうにケタケタ笑いながらジンの顔をした男はレインの頬を撫でた。
「酷いなー、確かに僕だよ、君の主」
「…あ、主の一人称は『俺』ですよ」
「ありゃ、それはそれは」
「その顔…や、やめてもらえませんか。
その顔で下品に笑われると…殺意が湧きます…」
「え、本当に?
じゃあやめないよ、あはははっ」
「………っ」
本気で殺意が湧いてくる。
反撃を狙って火照る身体を捩り、スーツに仕込んであるナイフを探した。
「ああ、だめだめ。
武器は全部取り上げたからね。
自分の身体、よく見てご覧」