俺様彼氏の説明書
歩く速度が遅くなる
ダメだ
早く歩かないと
斗真くんと美桜ちゃんに追い付かれてしまう
でも何かで固められたように足が前に出てくれない
「菜々ちゃん大丈夫?」
深雪ちゃんの心配そうな声
そして
「お望み通りに」
そんな声が聞こえた
恐る恐る顔を上げると、斗真くんが私の隣を美桜ちゃんと一緒に横切って行った
横切る瞬間、美桜ちゃんの私に向けた不敵な笑顔
私はその顔と言葉を聞いて、昨日もう出尽くしたと思っていた涙が再び溢れ出す
「…っ…ヒック…」
「菜々ちゃん!?」
深雪ちゃんに半ば引きずられるように私は学校までの道を歩いた