俺様彼氏の説明書




片思いしてる人の代弁者にでもなったつもりでいたの?



全然わかってないじゃん



もう、ホントに自分が嫌になる




「でも、ありがとう!」


「え?」


私は思いがけない言葉に、俯いていた顔を上げた



「無視しないでいてくれてありがとう」


「……」


「そんな倉田さんが好きだったから」



佐藤くん…



そこで予鈴が鳴り響いた



佐藤くんの恋の終わりの幕を引くように



「私こそごめんね、それにありがとう!」



私は涙が出そうになるのをグッと堪えながら、佐藤くんに手を振る



『ごめんね』なんて言わなくていい



『ありがとう』なんて嘘でも救われる





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