俺様彼氏の説明書




しばらく走ると通い馴れた図書室の入り口の扉が見えて来た



それだけでも心拍数はもうマックス越えてるんじゃないかと思うほどうるさい



いつもの扉をいつもより静かにソッと開けてみる



古紙特有の少しカビ臭くてそして懐かしいような独特な香りが鼻をくすぐる



少し来ていなかっただけなのに、なんだかやけに久しぶりな気がする



図書室の中は相変わらず人気は少ない



私は目的のフロアを目指して歩いた



とても静かだ



静か過ぎて逆に恐い



目的のフロアの斗真くんの指定席



窓際の低い本棚が見えてくる



私はその手前で足を止めた



そこには愛しい人の姿を見つけることは出来なかった





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