俺様彼氏の説明書



え…


その言葉を聞いても相変わらず顔を上げる気にはならないけれど



「斗真先輩…」



「おまえの本気の気持ちはよくわかったから、制服着て」



やっと上げた目に写ったのは斗真くんが、美桜ちゃんの制服を拾って着せている姿で



斗真くんは美桜ちゃんに言い聞かすように話していた



「こんなことしても俺の気持ちは動かないって前から言ってるだろ?」



「でも…」



「まあ…気を持たすようなことした俺も悪いけど」



そして美桜ちゃんの制服のリボンを結んでから私の方を見る



「文句ならあいつに言って」




そう言った斗真くんの顔には私の大好きなあの優しい笑顔






「俺を本気にさせたの、あいつだけだから」






斗真くん



その言葉は



『好き』なんかより



もっとずっと



威力があるって知ってる?





< 128 / 166 >

この作品をシェア

pagetop