俺様彼氏の説明書




美桜ちゃんは斗真くんのその言葉を聞いて、足早に書庫から飛び出して行った



私の隣を横切る瞬間に見た美桜ちゃんの横顔は



今まで一度も見たことがないような表情を浮かべていて



あんな余裕のない美桜ちゃんは、初めて見たかも知れない





ガチンッ━━━━━……!!



え?




美桜ちゃんに気を取られていたせいで、目の前まで斗真くんが来ていたことに気づくのが遅れる



「…っ斗真くん…!」



今の音って?



部屋のカギ閉めた…?



そう思ってる間に座り込んでいた私を無理やり立たせて、近くの少し高い机に座らすと強く抱き締めてくれた



「斗真く…苦し…」


「うるさい」



うわ…


相変わらず…



久しぶりの斗真くんの香りと温もりと俺様ぶり



もう一度、捕まえられた喜びも重なって私も斗真くんを思いっきり抱き返す



「来るのが遅い」



はい?







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