俺様彼氏の説明書
靴箱近くに差し掛かろうとしたとき、突然の背後から声を掛けられて、体がビクリと反応して振り向く
「佐藤くん…」
そこには佐藤くんが立っていて、私を見ながらニコニコと近寄ってくる
最近、佐藤くんと話すことが多くなった
っといっても彼も気を使っているようで、斗真くんと一緒にいる時は声を掛けてこない
斗真くんの手前、少し心苦しいけれど、なんとなく拒否できないでいた
その理由もよくわかってる
彼を見ていると、片思いの時の自分と重なって冷たくすることが出来ないのだ
「佐藤くんは?」
「俺?俺は担任に捕まって雑用させられてた」
「え〜そうなんだ最悪だね?」
「うん、俺もそう思ってたけど倉田さんに会えたからある意味ラッキーかな」
そう言って私に笑顔を向けるけど
私はなんとなく返答に困って話題を変えながら靴箱への廊下を一緒に歩いた
「この間のCDありがとね」
「ああ〜全然、あれぐらいならいつでも」
「やっぱりあのグループの曲好きだな〜」
「俺も〜詩が切なくていいよね」
「だよね〜?」
そう、私たちの好きなグループの曲は、だいたいが片想いや失恋をテーマにした歌が多い
斗真くんに片想いをしていた時に聞いていた曲が、佐藤くんも好きだと聞いた時に変な親近感がわいてしまった