あんなやつ大嫌い
「姉様、璃里先輩お疲れさまでした!」

後輩たちに見送られながら体育館を出ると、辺りは暗闇に包まれていた。

「ちょっと寒いね。」

「うん。」

4月なのに少しだけ肌寒いのは、さっきまで走り回っていたからかも知れない。

小鳥は衿を押さえながら歩いた。

「美魅、迎えに行く。」

「えっ…あぁ…そうだね。」

小鳥の苦笑いなんか気にもせずに、璃里はグラウンドに向かって歩いていく。

グラウンドはスポットライトが当てられていた。

ハードルを片付ける生徒や、グラウンドを整備する生徒の中に美魅はいた。

「美魅。」

「璃里。」

二人は見つめ合いながら、無表情で無言になった。
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