あんなやつ大嫌い
夜の道に三台の自転車が微妙な感覚で並走している。

「ひーくん、美魅が遠い。」

「…璃里、ひーくんはやめろ。」

「小鳥ちゃん、璃里が遠い。」

「しばらくの我慢よ…」

途切れ途切れの会話の隙間に冷たい風が吹いているようだった。

大将が璃里を乗せて自転車をこぎ、その横に美魅の自転車、さらに横に小鳥の自転車が走っている。

「璃里、自転車乗る練習してるのか?」

「…難しい。」

「…乗る気あるか?」

ため息混じりの大将の言葉に、璃里は静かに首を振った。

「そんな璃里が可愛い。」

「そんな美魅が大好き。」

二人のずれた発言に、小鳥と大将はため息で応えた。
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