あんなやつ大嫌い
「小鳥ちゃん遅い。
忘れ物あった?」

ベンチで退屈そうに座っている璃里の言葉を聞いて、小鳥はガクリと肩を落とした。

「…忘れた。」

「忘れた…
それって忘れ物を取りに行くのを忘れたの?
忘れ物の存在を忘れたの?」

「…両方。」

「小鳥ちゃん、器用だね…」

「…ありがとう。」

不思議そうに首をかしげた璃里に苦笑いを浮かべた小鳥は、忘れ物を忘れる原因を作った大将を想像した。

確かにルックスだけならまあまあ、いや、かなり良い方かもしれない。

黙ってさえいれば可愛い系だし、未だに女の子に間違われるくらい肌が綺麗で、髪も艶々している。

でも、口を開いた途端に『巨人』『お前』『うるせぇ』『馬鹿』の嵐。

これではせっかくの美人顔も台無しだ。
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