あんなやつ大嫌い
「だから、何でもないんだって!」

「…美魅にだけ内緒?」

「…美魅なのに内緒?」

部活が終わり、サボって帰ってしまったであろう大将の代わりに、小鳥が璃里を乗せながら走っていた。

「だからぁ…
何でもないんだって!
気にしないで…」

小鳥は大将の告白現場を見てからモヤモヤしだした自分の気持ちが恥ずかしくて、そして大将への怒りがますます募ってきて、とてもじゃないが美魅に話す気分にはなれなかった。

「美魅は寂しい。」

「美魅が悲しい。」

「璃里も寂しい。」

「璃里は悲しい。」

「「小鳥ちゃん、冷たい…」」

小鳥を攻め立てる美魅と璃里のユニゾンに、小鳥は叫びだしたい気持ちを必死で堪えながら自転車をこぎ続けた。
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