あんなやつ大嫌い
「悪いところか…」

こうして強がる所も悪いところなのかもしれないと、小鳥は月を見上げながら苦笑いを浮かべた。

「小鳥!」

急に呼ばれて暗闇を見つめると、走って行ったはずの大将が戻ってきた。

「…乗れ。
送る。」

大将はぶっきらぼうにそう言うと、黙ってしまった。

「…うん。」

突然の事に小鳥は呆然としたまま荷台に座った。

そして自転車が走りだし、二人は無言のまま暗闇を走り続けた。

しばらくして小鳥の家の前に着くと大将が自転車を停めた。

「…ありがとう。」

小鳥は小さく呟いてから自転車を降りた。

聞こえなかったのか、大将は黙って行ってしまい玄関の門を開けて家に入っていった。

小鳥はそっと家に入った。
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