Love Prince―18歳の初恋―【完】
15‐2人のペース
抱き締められたまま、時間だけが過ぎて行く。
「抱っこされてるみたい」
物心がついた時から、抱っこをされた経験がない。
疲れても我慢して、お兄ちゃんとお姉ちゃんに手を引かれて、歩いた。
置いて行かれないように、必死に歩いてた。
「物心がついてから、抱き締めてくれたの、先生たちだけ。パパはいつも、忙しかったから」
先生は私を離すと、膝に乗せてくれた。
額がくっつき、キョロキョロしてしまう私。
「それでも愛されてるってわかる」
でもそう言われて、恥ずかしさも忘れて、先生を見た。