Love Prince―18歳の初恋―【完】
岳は「秘密は辛いな」と、私だけにしか聴こえない声で言って、数学の教科書を出した。

確かに辛いけど、でも大切な人がちゃんと知って居てくれたら、私は構わない。

クラスメイトのみんなと、仲が悪いわけじゃないけど、良いわけでもないし。

授業をそっちのけて、窓から空を眺める。

勉強は私に合わない。

してもしても、頭に入らない。

亜果利や岳に教えて貰うと捗るのに。



「貞包、そんなに俺の授業がつまらないか?」



「私はそんな事、言ってませんけど!」



―――この頃からだった。

新任の数学教師、井ノ原ーイノハラー先生による、がらせが始まったのは。




< 162 / 440 >

この作品をシェア

pagetop