Love Prince―18歳の初恋―【完】
※ ―亜果利SIDE―



「ねぇ。癒杏、教室に居る?」



『居ない』



体育が終わり、ごみ置き場に行った癒杏が戻らない。

教室で着替えてた岳に訊いても、“居ない”と言われて、私は旧校舎や迷いやすい箇所を捜す事にした。

6時間目が始まるチャイムを聴きながら走ってると、岳も合流してくれて、二手に別れて、私は旧校舎をもう一度、戻る。

切り裂かれた挙げ句、変な所にぶら下げられた体操着を捨てに行った癒杏を追い掛けなかった後悔が押し寄せる。

ーー…ン…ド…ドン…

さっきは何も聴こえなかった筈のごみ置き場から、微かに音がする。

…癒杏?

簡易的な鍵を開け、扉に手を掛ける。
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