Love Prince―18歳の初恋―【完】
「なぁ。、癒杏の彼氏には、何て言えば良いんだ?」



「…それは…」



渡り廊下に出ると、岳が私に振り返って来た。

“先生”と言わない事も気になる私は、岳の視線を辿った。

本校舎と渡り廊下で繋がる旧校舎。

1階と二階の階段のがあるので間にある踊り場から、少しだけ傾斜があって、本校舎の2階に行ける。

1階の廊下に潜む影が見易いのは気のせいか否や。

岳が言葉を濁した意味がわかる。



「…保健室、行こう」



見続けても、癒杏を閉じ込めた人の顔なんて、見れるわけがない。

私は追い掛ける選択肢を今は捨てて、岳について行く。
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