Love Prince―18歳の初恋―【完】
「――お、杏奈?」



病院の正面玄関を出ようとした時、前からお兄ちゃんが歩いて来た。



「何してるの?仕事は?」



「仕事が終わって、ちょっと彼女にな」



「…そう」



癒杏はまだ知らないけど、お兄ちゃんには彼女が居る。

病院勤務の薬剤師さん。

大学時代の一つ後輩の人。

私とお兄ちゃんと癒杏、3人の時間が多かったせいか、最近、自分の事を棚に上げて、2人が取られたようで寂しい。

癒杏はまだ会える時間が多いから、特にお兄ちゃんの彼女は嫌と思ってしまう。



「杏奈は何をしてたんだ?」



「別に。じゃあね」



こちらに歩いて来る彼女さんを見付けて、私は駐車場に走った。
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