Love Prince―18歳の初恋―【完】
「先生が迎えに来るの…」



「ちょっと待てよ。たまに帰って来たし、泊まれよ!」



「イヤ――ッ!」



グイッと腕を引っ張られて、お兄ちゃんだとわかってるのに、誘拐された時を思い出して、大きな声で、拒否してしまった。



「癒杏…」



「帰る、帰る…っ…!」



離れない手。

座り込み、足を踏ん張って、お兄ちゃんから逃げようとする。



「ごめん、癒杏…落ち着け…?」



「帰る…帰るのぉ゛…ッ…!」



お兄ちゃんがお兄ちゃんに見えなくなっていた。

誘拐犯と、被ってる。
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