Love Prince―18歳の初恋―【完】
「離してやれ」



「でも…」



「良いから。――怖かったな、癒杏」



パパがお兄ちゃんから私を離して、抱き締めてくれる。

頭を撫でられながら、涙を必死に堪える。

パパに抱き締められて嬉しい。

嬉しいけど、何か違う。

ずっと求めてたのに、私の欲しい温もりは、変わっていた。



「龍哉が良い…っ…先生に会いたいの…!」



親不孝だとわかりながらも、気持ちが声になってしまった。

パパは寂しそうに頷き、「もうすぐ来るだろうな…」と言う。

…パパ…ごめんなさい。

私は心でしか、謝れなかった。




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