Love Prince―18歳の初恋―【完】
29‐陵介SIDE



杏奈が自宅を飛び出したと聞いて、急いで家を出た。

勘だけを頼りに捜し、見付けた場所は公園。

杏奈が話してた、兄妹3人の思い出がたくさん詰まった公園。



「…杏奈」



「…陵介…」



ベンチに座る杏奈に声を掛けると、思い詰めたような顔で、俺を見た。

杏奈は自分で涙を拭える、しっかりとした女。

でも、我慢をしてるんだとわかってる。

強がって、強がって。

自分の気持ちを堪えて、壊れそうになる。



「何でいつも、1人で泣くんだろうな」



隣に座り、抱き締めると、杏奈は涙を流さないように、唇を噛んだ。
< 291 / 440 >

この作品をシェア

pagetop