Love Prince―18歳の初恋―【完】
しかし、やっぱり杏奈ちゃんは、自分で涙を拭いて立ち上がれる子だとわかる。



「あら、嫉妬なんて可愛いじゃない。今まで3人だったもの。当たり前よ」



「でも…」



「“でも”じゃないの!大切な家族が取られた気になるのは当然。
問題は、家族の時間を取り戻す事ね」



母親が腕を組んで考え出す。

ダイニングテーブルで仕事を続けてた父親は、「癒杏を戻す事になるぞ」と、資料を見つめたまま言う。

…帰せねぇだろ。

ライターをカチカチと点けたり消したり、弄ってると、杏奈ちゃんは、「癒杏はお兄さんの傍に居させて下さい」と言う。
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