Love Prince―18歳の初恋―【完】
癒杏は俺と陵介の間に座ると、「先生が居る!」と、腕にコアラのように抱き着いて来た。

…さっき見ただろ;;



「陵介君…」



「ん?」



「お兄ちゃんが結婚した時、寂しかった?」



「え…;;」



癒杏と違い、弟である陵介には、難しい質問だろう。

固まってる陵介から目を逸らすと、「男の人に訊かないの」と、杏奈ちゃんが間に入った。



「はぁい」



癒杏が返事をすると、「癒杏が結婚すると、お父さんもお兄さんも寂しいぞ?」と、親父が言う。



「そうなのかなぁ。でも、先生のお嫁さんは私だもん…」



癒杏らしい回答に、親父は老眼鏡を外して笑う。

陵介が俺の肩をつつく中、指輪に彫って貰った言葉を思い出した。




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