Love Prince―18歳の初恋―【完】
私は「違います…」と小声言えば、「は……?」と、呆れた声が聞こえて来た。



「転校生じゃないのに、迷子?」



「…方向音痴なんです…」



自分の馬鹿さに、また泣きたくなってると、「なら仕方ないか」と、デスクを片付ける手を止めた先生は、私に近付いて来た。



「名前とクラスは?」



「今日から3Bになった、貞包癒杏です」



「よく言えました。俺は、赴任して来た矢田。ついて来い」



「ふ、“赴任”!?」



「それが?」



…“それが?”って…。

私、もう恥ずかしくて死んじゃうよ。

教室を訊ねた相手が、ここに来て、私より日が浅い人なんて…。
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