Love Prince―18歳の初恋―【完】
「そうでしょ?亜果利のお父さん、今じゃ署長さんなんだよ!」



私の笑顔は、上手く出来てただろうか。

思い出した事により、甦った胸の痛み。

亜果利のお父さんたち、刑事さんたちしか知らない、封印した筈の、事件。



「先生とだったら……忘れる。
大丈夫な気がするのにな…」



小さな独り言は、きっと誰にも聴こえず、ため息と共に消えた筈。

亜果利のお父さんが、“おじさんたちが守る。君も、1人になっちゃダメだよ”と言ってた。

繰り返されない。

そして、忘れる。



「癒杏?」



「…近い!;;」



岳が私の顔を覗き込んで来た。

あまりの近さに、額を押すと、病室のドアがノックされた。
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