Love Prince―18歳の初恋―【完】
「癒杏、しっかりしてっ!!」



亜果利が私の名前を呼びながら、肩を掴んで揺さぶる。

けど、あの日と同じように、私は膝から崩れてしまった。



「…忘れたい…忘れるの…っ…」



コンクリートの冷たさが、スカート越しに伝わって来る。

私は幻覚に襲われ、自分の腕を強く擦った。

亜果利からすれば、ブレザーを擦ってるだけにしか過ぎないだろう。



「――貞包ッ!!」



我を完全に失いかけた時、大きな声で呼ばれた。



「…先生…」



大好きで。

昔を忘れさせてくれる。

私が愛されたい、矢田先生に。
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