Love Prince―18歳の初恋―【完】
目の前に屈み、私の頭を撫でる先生の胸に、飛び込んだ。



「助けて…。先生、助けてよ…」



「ん。大丈夫だから、落ち着け」



先生は亜果利に教官室の鍵を渡して、「開けて来てくれ」と先に向かわせた。

私は先生に支えられながら立ち上がり、腕を引かれて歩き始めた。

無言のまま、亜果利が開けてくれてた教官室に入ると、ソファーに座らされ、先生はまたも、私の前に屈んだ。



「昔、何かあったんだろ?俺に話せるか?」



いつになく優しい声に、私は数回、頷いた。

反動で飛んだ涙が、矢田先生の手の甲に落ちる。
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