Love Prince―18歳の初恋―【完】
「苦しかったな、ずっと。我慢してたんだな…」



大きな腕の中で、私はこれ以上の涙が流れないように、唇を噛んだ。

でも、一粒の滴が唇を撫でるように落ちて、噛むのを止めた。

見上げれば、涙の痕が頬に残った、綺麗な矢田先生の横顔。

私は亜果利の潜在を忘れて、先生の頬にまだ残る涙にキスをした。



「泣いたらダメ…。先生が泣いたら、私も泣いちゃう…」



既に泣いてるのに、優しい矢田先生に、涙が増してしまう。

先生は「馬ー鹿」と、私の頭を小突き、ティッシュで垂れそうな鼻水を拭いてくれた。

…大好き、先生…。

溢れる気持ちは、止まる事を知らない。
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